AI解剖教室 · Part 9 答えが生まれる瞬間
第83章 AIの記憶の限界
Q. ChatGPTと長く話していると、最初に言ったことを忘れてしまうことがあります。なぜでしょう?
- 第77章で見たように、会話はモデルにとってひとつの長い文章です。でも、一度に読める長さには限りがあります。
- この限界をコンテキストウィンドウ(文脈の窓)といいます。GPT-3は2,048トークンまででした。窓の中の文章だけが予測に使われます。
- 会話が長くなると、新しい言葉が入るたびに、いちばん古い言葉が窓の外へ押し出されます。
- ここで名前を聞くと?名前は窓の外なので、モデルには見えません。わからないと答えるか、名前を作ってしまうこともあります(第84章)。
- 窓をどこまでも広げるのは大変です。アテンションはかけらのペアごとにスコアをつけるので(第47章)、長さが2倍なら表は4倍です。
- 答えを書くときは、かけらを1つ作るたびに、前のかけら全部のKeyとValueが必要です(第46章)。毎回計算し直すのはむだですね。
- KVキャッシュは、計算ずみのKey・Valueのメモを使い回す方法です。前のかけらは後ろを見ないので(第51章)、値が変わりません。
- ただし、メモは会話が長いほどたまり、メモリを使います。長い会話では、大事なことをもう一度伝えるとよいでしょう。
この章のまとめ
- コンテキストウィンドウ(context window):モデルが一度に見られるトークン数。GPT-3は2,048トークン。
- 窓をこえると古い言葉から押し出され、モデルはその内容を見られない。
- KVキャッシュ:計算ずみのKey・Valueをメモしておいて使い回し、答えを速く作る。